12月名物 仕上りまで

もう先々週となりましたか。「師走スペシャルティ」無事終演致しました。
遅ればせながらご来場頂いた皆様、台本お買い上げくださった皆様、ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
今回のメニューは
①短いポエムのような朗読「コスモえほん」②明るい不条理コント「調査続行」
③リーディングドラマ「ある通訳者の話」
の3本でした。
①は以前やった短編芝居「コスモ」のお話を膨らませたもの、②は雑誌掲載された作品を今回のメンバー用に改定したものでした。つまり元々の骨組みがしっかりしており、あらたな要素を付け加えたり、書き直したりしていく作業はとても楽しく、すんなりと今回の公演用のスタイルになりました。

苦しんだのは③でした。
数年前、通訳者の話に興味をひかれて書いたプロトタイプは、"ネコのアゴヒゲ"のくだり以外、前後をいろんなパターンで書いたものの全くまとまらず、結局お蔵入りとなっていたものでした。
しかし久しぶりにファイルを開き、試しにここ数年一緒にやっている座組と公演形態を念頭に置きつつ眺めていたら、新しい構成がだんだんと浮かび、きちんと書き終えることが出来ました。
ですが稽古が始まってからも試行錯誤し、役者からの疑問に向き合ううち「これは間違いだ!」と一人唸り、書き直し、「正しい」ものに辿り着いたページが何枚もありました。

コントもそうですが、本当にメンバーに感謝です。 

高森くんのこと:
ところで今回、ラストは楽しく馬鹿らしく…と書き進め、ついに終盤に差しかかった頃、一人の登場人物が気になり始めました。
主人公の希代の元カレ・高森くんです。
生活をきちんと回すことに取り組み、自身の憧れや夢に正面から向き合わず、たとえそれが頭をもたげたとしても胸の中でなだめることが出来る…まあまあ族の高森くんはそんな人で、同じまあまあ族であったはずの希代は通訳者になったけれど、彼は相変わらずの日常を送っている。
そんな彼を、同じまあまあ族である作者の私が最後に気にかけてあげないとかわいそうじゃないか!
…と、誰に何を言われたでもなく、そんな深い描写があったわけでもないのでおそらく高森くん自身も気にしていないだろうにもかかわらず、ラストに彼の再登場となりました。
また。
何年も前に、大好きなユアン・マグレガーが出ているから、という理由だけで見た「ミス・ポター」という映画がありまして。
なかなかにいろんなことと果敢に戦ってきたミス・ポターの物語のあと、ケイティ・メルアの歌う美しい曲がラストで流れる。その意味を思った時の、胸が締め付けられるような感触をいまだに憶えています。
面白おかしく解説した通訳入門コーナーや若手通訳者・野毛透のスリリング?な現場のあとに、少しセンチメンタルなエンディングとなった理由は、その感じもあるのかな…

…などという、公演後記でした。

それでは、また。
あらたな楽しいお話との出会いを願って、旅に出ます。
皆さま、またお会いしましょう!

ユーカリノ

ユーカリノート Eucalynote

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